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隊商ギュネス　業務日誌記入用紙
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■本部より連絡欄■（記入者：レクリア）

　　同行者ができるのは構いませんが、
　　同行と言うと共に一揆勢力として王側の軍勢と戦うということですか？
　　軽く首を突っ込む程度なら構いませんけど、
　　熱に浮かされた現地民と共に革命に参加するとなると
　　色々危険が大きいとは思いますので、避けた方が良いとは思いますよ。
　　言うまでもありませんが内政不干渉は原則ですからね。
　　詳細の連絡を待ちますが、上記に関してはお願いします。

　　追伸：面倒でも真面目に書きなさいよばか。

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■報告事項■

　①同行者について
　②生息する生物について

■詳細■
　①同行者について
　　　昨日記載した同行者について、下記に一名ずつ詳細を記す。
　　　なお、数は四。

　　　○ヴィクラム・ガリバルディア・ジャドゥーラ
　　　　　メルンテーゼ内、"迷い森の里ジャドゥーラ"出身の男性。
　　　　　"迷い森の里ジャドゥーラ"は、その名の通り森に囲まれた里であるとのことだが、
　　　　　地図上には位置が示されておらず、メルンテーゼ全土の森から繋がっている空間という説もある。
　　　　　何らかの魔法的作用により異空間のようなものが創造されているのかもしれない。　　

　　　　　彼はそこで"ガリバルディア"と呼ばれる職に就いていたという。
　　　　　"迷い森"に入ってきた者を目的地まで案内することが仕事らしく、
　　　　　ほぼ常に"迷い森"の中で生活しているようだ。　

　　　　　よって同行者に中では唯一のメルンテーゼ出身者であるが、
　　　　　あまりこの世界の知識に関しては期待できない。
　　　　　ただし、大柄の勇ましい男であり、非常に腕っ節が強い。
　　　　　実戦にも慣れているようで、一揆が発生している現状ではむしろ
　　　　　その方面で大いに期待できる同行者である。

　　　　　エンブリオとの契約が生活に必要不可欠であるメルンテーゼ民であり、
　　　　　今回"迷い森"を離れ一揆に身をおく形になっているが、
　　　　　打倒新王に燃える感情論革命派というわけではなく、
　　　　　ネクター不足をどうにかしたいと考えている穏健派のようである。


　　　○クリシュナ
　　　　　十代後半と思われる、黒髪の器量良しで将来有望そうな少女。
　　　　　妹を探しにメルンテーゼに来訪したところ、一揆騒動に巻き込まれたらしい。
　　　　　斧と剣を兼ねたククリナイフを用いて戦うが、これがかなり手馴れている様子で、
　　　　　恐らくは今まで日常的に使用する機会があったものと思われる。
　　　　　（なお出身等についての詳しい話はまだ聞いていないためこれは予測である）
　
　　　　　"巻き込まれた"とは記載したが、彼女は新王のことをあまり良くは思っていないようではある。
　　　　　多感な年頃であるし、周囲の雰囲気に飲まれて熱を入れ過ぎなることがないとも言い切れず、
　　　　　この辺りはそれとなく注視しておきたい。


　　　○ローラス＝ノビリス
　　　　　【学問の世界】アカデミエ出身の魔鉱物学者で、歩行月桂樹（男性のようだ）。
　　　　　研究のためにメルンテーゼを訪れていたところを巻き込まれたらしい。
　　　　　"巻き込まれた"と記載したが、彼は本当に"巻き込まれた"状態で、
　　　　　一揆騒動でアカデミエへの出国手段がなくなったため止むを得ず留まっているようだ。
　
　　　　　彼は武器や魔法で戦うということはしないようだが、
　　　　　植物や鉱物の知識に関して大いに期待できる。
　　　　　騒動のため捗ってはいないようだが元々はネクターの研究をする予定だったらしく、
　　　　　その辺りに関しても何か良い話が聞ける可能性もある。


　　　○ビブリオバベル＝ベリアルオリバー
　　　　　同じく【学問の世界】アカデミエ出身で、ノビリス氏に師事する少女。
　　　　　十代後半程度と思われるが、元気で可愛い無邪気な女の子。
　　　　　積極的に他人と関わっていくタイプで、今回のこの五名の同行は彼女の声掛けで成立したようなもの。

　　　　　彼女もアカデミエへの渡航手段がなくなり留まっているのだが、
　　　　　しかし彼女は自らの意志で進んで一揆に協力している。
　　　　　新王を倒すことこそがメルンテーゼのためであり正義である、と思っている様子で、
　　　　　感情移入のしやすさは若干心配でもある。
　　　　　ノビリス氏がブレーキ役になっているので滅多なことはないと思うが、
　　　　　こちらもあまり加熱しすぎないようにそれとなく宥めておければいい。

　　　　　あまり戦闘などには向かないタイプに見えるが、
　　　　　魔鉱石の研究者と言うべきか、魔鉱石を媒介にした召喚を行えるため、
　　　　　それを武器として戦っていこうとしているようだ。


　②生息する生物について
　　　メルンテーゼの原生、もしくは王が一揆妨害のために庭に放していると思われる生物に遭遇。
　　　こちらには敵意があるらしく、無差別に攻撃してくる。
　　　さらにこの中にはエンブリオも混ざっており、
　　　戦闘で黙らせた後にそれと契約している者を見掛けたため、
　　　王と契約しているわけではなく縄張りを荒らされた等の理由で
　　　怒っていたと見るのが自然だると考えられる。

　　　なお小生が遭遇したのは筋肉質な芋と粘性な生物で、エンブリオではなかった。



■その他感想等■

　　同行者については詳細に書いた通り、
　　懸念事項はあれどあんまり心配しなくてもいいと思う。
　　必要以上に内部以上に巻き込まれそうになった場合は、
　　袂を分かった方が良ければそうするし。
　　今のところは皆戦闘も出来たり知識持ってたりで、
　　メリットしかないから何の問題もないよ。

　　それとアカデミエについての資料って何かそっちにあったっけ？
　　知っておいた方が良さそうなことがあったら適当にチョイスして
　　分かりやすくまとめて送ってください。よろしくー。

　　あとレクリアは俺がいなくてストレス溜まるのはわかるけど
　　さり気なくばか呼ばわりしてくるのやめてください。

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改めて値踏みするようにじろじろと見てくる。
一瞬フェルハトの肩に居るものを見て動きを止めたが、
すぐに何事もなかったように逸らす。

勝手に呆れられた。

ビブリオバベルは途端に興味を無くしたような顔をした。
……が、直後、
フェルハトが取り出したデザートローズの魔鉱石に瞳を輝かせる！

飛びかからんばかりに身を乗り出すも、
サッと仕舞われたそれに手を空は切り、
思わずつんのめって転びかけた。

不意に差し出されたサンドローズを反射的に受け取り、
瞳をぱちくりさせながらそれを見つめる。

角度を変えたり光にあてたりしながら観察に熱中しはじめた。
「どうして魔鉱石の研究を？」という問いかけも聞こえていないようだ。

　

（鎖を引かれ、尻を蹴り付けられ、後ろ足をかばうようによろめきながら
　白い犬型のエンブリオが前へと歩み出る）