http://half.bufferin.jp/if/gd_3.html

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城には兵士がいた。
兵士はグリゴリ達の事を「世界に害をなす虫けら」と言った。

最初は鼻で笑って受け流したが、ふと。
王が正しい事をしている可能性もある事に気がついた。

しかしそれは大した問題ではない。
大事なのは、虫けらなのは相手の方だと思わせる事だ。

声が返ってくるとすら思っていなかったのか、思いのほかの大きな音にびくりと体がはねる。

怖いものは怖いようで、すこしはなれたところから悪態だけが聞こえていた。

友好的な返事が返ってくるとは思っていなかったが、
露骨な相手の反応を見るや次の句を詰まらせた。

何だか視線を向けていた相手から睨まれているような気がする。
じろじろ見ていたから気を悪くさせただろうか。それとも向こうも己のように眼が悪いのだろうか。そんな風に思いながら首を傾げ───

折り悪くそんな所へ、砂を巻き上げた一陣の風が吹いた。

砂が目に入り、より一層眦をキツく細めた。手で擦ったら更に辛くなる気がして涙で押し流そうと頑張れば、それに集中するあまり唇が不自然に引き吊った。
結果として出来上がったのは顎をしゃくって睨みつける不自然な笑み。


時と場合と、見る人によってはそれは出来の悪い挑発にも見えるかもしれなかった。

べしゃり、と　見た目以上に軽い少女は簡単に突き飛ばされ地面に尻餅をついた。
幸いにして怪我をするほどの衝撃ではなかったようだが、怒鳴られて、
それをされたことに対して目を白黒とさせている。

遠ざかるグリゴリの背中を見送りながらパンパンと砂を払い立ち上がる。

そう独りごちるとあとはもう、何もなかったかのように湯屋の宣伝へと戻っていった。
だが、もし今後宣伝中に出会った場合には邪魔にならないようにするくらいの
気遣いは見せるだろう。

慌しく厨房の方へへ走り去っていった……。

貴方から少し離れた所を、褐色の肌を持つ男が歩いている。
そのまま歩けば、貴方とすれ違うコースだ。
男は貴方の存在に気付き、呟く。

貴方の事を噂にでも聞いていたのか。
男は貴方を一瞥し……

ただ、それだけだった。
男は何事も無かったかのように視線を戻し、進路はそのままに道を往く。

なぜか少し不機嫌

（鎖を引かれ、尻を蹴り付けられ、後ろ足をかばうようによろめきながら
　白い犬型のエンブリオが前へと歩み出る）