ここは一揆参戦者の為の喫煙所。
喫煙者なら出入り自由なプレハブ小屋。
殺風景な部屋に簡素な灰皿とパイプ椅子。
カラカラと調子の悪そうな換気扇が回っている。


・煙草が吸いたいけれど灰皿ないか！？
・PT行動中は遠慮してしまう……
・煙草が切れた……誰か持ってない？
・攻城戦の前には一服だよね！
・携帯灰皿の中身捨てる場所は……
・火貸してくれよ！
・なんとなく煙に塗れて駄弁りたいetc

煙草、葉巻、パイプ、煙管……
煙と共に好きな事を吐き出して行ける場所。

決められたルールは二つだけ。

・退出時は必ず消火を確認する事。
・換気扇は絶対に切らない事。

　　　　　　以上

ゆら、と煙草の煙が立ち昇る。

シガレットケースを内ポケットから取り出すと一本くわえ、小屋の隅でカチリと火を点けた。

そんなことを言いながらふらりと現れた細身の男は
周囲の利用者に軽くほほえみかけて会釈をすると
懐から紙巻煙草を取り出して口に咥え、火をつけた。

煙を燻らせながら、誰にともなくそう語りかける。
軽いメンソールの香りがふわりと周囲に漂った。