仲間はもう二名ほど加わった。

　一人（いや、一匹……一株？）は巨大な植物の……娘？
　伯爵 (と名乗る小動物) を虐待していたところに出会った。
　人間が嫌い、とのことだが、どういうわけか我々には
　さほど害意がないようなので同行させることにする。

　常人の三倍はあるかという体躯。めまいがする荒唐無稽さだ。
　腕がないのにも驚かされる。生まれつき欠けていたか、
　そうでなければ随分昔に失ったというところだろうか。
　あの巨躯は何かと役に立つことだろう。うまく使いたい。

　もう一人は派手な扮装の女だ。
　願ってもいないことに向こうから加入を申し出てきた。
　隠し切れない胡散臭さが漂っているが、まあ贅沢は言うまい。
　わたしの見立てではなかなかの妖術師だろう、彼女は。

　随分とチグハグな面子になってしまった。それも秩序の感じられなさそうな連中ばかり。
　しかし、この三人 (そう言っておこう) を救えないようでは
　この世界に正しき律法と秩序をもたらすことなど夢のまた夢。
　綺羅びやかな鎧と栄誉ある御旗はまだここにはない。

　仲間が揃ったので、勝手ながら民家を接収して
　本拠地とした。一揆が収まるまでは使わせてもらおう。

　植物の娘……『ネム』が外で野ざらしなのは、別に魔物なので哀れではないが、
　風紀的に問題があると思われるので、これも後々考える必要がある。

　奴が服を着てくれれば概ね問題はない（サイズの問題はさておき）のだが……
　その提案は拒否された。これだから蛮族は！　若い娘は服を着ろ！
　……いや、魔物は若い娘と数えていいのか？
　第一なぜ服を着ないのだ？　いくら魔物でも、姿形が人間に近いなら
　精神性もそれに近いのではないのか？

　正直よくわからないので、もう少し学ぶ必要がありそうだ。
　『律法』にはとても及ばないようなチンケな個人の内在する道徳でも、
　理解しないことには啓蒙することも難しい……
　蛮人の考えを理解しようなどとは、なんとも吐き気のするようなアイデアだ！

　ともかく、わたしが今回主張したいのはこれだけだ。

・・・