＜前回の大雑把なあらすじ＞
ウォレンは新たに就いた仕事としてイッキに初参加。
運よく（？）仲間になったものたちと併せて４人で王城へ続く平原の道を進んでいった。
そのウォレンたちの行く手を遮ったのは・・・ケット・シー、ネコの姿をしたエンブリオであった。
ケット・シーを見てウォレンは思った。連れて帰ったらリンが喜びそうだ、と。
仲間たちの尽力もあり無事にケット・シーを撃破。
今日の行軍はここが限界と踏んだ皆はその場に転移印を刻み帰還の準備を始める。
エンブリオ契約を結んだウォレンもケット・シーを連れて我が家へと転移石で帰るのであった。

＜本日のバヤリィス家＞

これまでとは違い、仕事をしてきたという自信からか幾分か自信のある声音のウォレン。
扉を開けると夕食の準備をしているのか空腹を刺激する匂いが漂っていた。

鼻をひくひくとさせてウォレン。ちょっと大人気がないしぐさであるが存外に腹も空いていたので仕方ないのかもしれない。

食堂の扉を開けながらあらためて言うウォレン。

厨房の方からリンの声。調理中のためかその姿を現してはいませんが声の調子は機嫌がよさそう。

少し誇らしげに、ちゃんと仕事をしてきましたと報告するウォレン。

お土産と聞いて砲弾もかくやと言う勢いで厨房から飛び出してくるリン。
手が離せないのはどうした、と言う突っ込みも忘れさせる勢いでウォレンの服をぐいぐいと引っ張り説明をとせがんでくる。
ウォレンは服が伸びちゃう伸びちゃうとリンをなだめながらも背に負った鞄をテーブルにおろすと中から一つの毛玉を取り出して言います。

ちょっとした悪戯心で契約をしたエンブリオ、ケット・シーをお土産として紹介したウォレン。
事前にケット・シーに話を通しておいたので当のケット・シーも大人しくウォレンにつかまれたままである。

ところがケット・シーを見たリンの様子がおかしい。

口を◇に目を輝かせ身を震わせている。

ちょっと心配になってきたウォレンが恐る恐るそう声をかけた次の瞬間

ズバンッ！と言う音さえ感じさせる凄まじい勢いでリンがケット・シーをウォレンから奪取。
そのまま凄い叫びを伴いつつケット・シーを力強く抱きしめると凄まじい勢いでその腹に頬ずりを敢行する！！

もはや煙すら出そうな勢いである。漫画的に表現するのであれば首がねじ切れないのがおかしい勢いである。
その異様な光景にケット・シーを奪われたままで呆然とするウォレン。
実はネコと言うかもふもふな生物が好きだということはそれとなく知っていたがこのレベルとは思っていなかったのである。
そんな呆然とするウォレンの耳にか細い、本当にか細い悲鳴が届いた。

尻尾と後ろ脚をびくんびくんと震わせながら、末期の言葉とばかりに主人に告げるケット・シー。もはや抵抗する気力も体力も根こそぎ奪われており最期をただ迎えるばかりと言った体である。

慌てて止めに入るウォレン。しかし錯乱したリンは頬ずりを止めようとしない。
痙攣どころか脱力してぐったりとして来ているケット・シー。
ネコーと奇声を上げるリンに、なんとか引き離そうと奮闘するウォレン。

シチューが焦げ始めたような、そんな匂いを食堂に漂わせながら繰り広げられる本日のバヤリィス家でした。

つづきます。