朝。
　一日のはじまりは太陽の光を浴びることから始まる。
　UV予防のことを考えてほんのすこーしだけね。
　お天気を確認してから、今日の予定を確認。

　おっと。
　ここは実家じゃないんだっけ。
　一揆に参加しにきているんだった。


　おかしいな。毎日アイドルと農業ライフを送る計画はどうなったんだ？


　アズちゃんのホームステイ開始から１週間ちょっとたった頃だった。
　組合のおっちゃんたちと両親が私に突然頭を下げたのだ。

　別の国の一揆に参加してくれないか、と。

　近所の男衆でもよかったろうに、とも思ったんだけど一人っ子だったり、男手が足り
なかったりでどうしてもそろわなかったんだとか。おっちゃんたちは流石に高齢で無理
だしね。
　学生である弟はもってのほかだし。
　我が家を継ぐためにお勉強は続けてもらわないと！！

　で、農家の娘で力仕事を平気でこなせて、モグ爺となんだかんだで仲がいい私が選ばれたらしい。
　怪力だけじゃなくて、畑の守り主に好かれてる人間がいいとかどーのこーの言ってたな。
　この国に来てどうしてそれが必要なのかがよく分かったけど。
　モグ爺の他にも協力してくれるエンブリオをさがさないとねー。


　でも、さ。
　私ってアズちゃんのホームステイの条件に入ってたんじゃなかった？？？

　なーんか厄介ごと押し付けられてないー！？

　
　はー・・・。



　ちょっとやだなーなんて思ったりして。



　まあ、いいんだけどね。
　はっはっは。




　アズちゃんもちょくちょく来てるし〜。



　
　はい。アズちゃんは来ることができるんです。
　私が渡された携帯型転移陣なるものに、私の家に置いた転移陣にワープができるんです。
　ただし、仕事の合間に。
　でもカメラの同伴無しだから気楽らしい。
　アズちゃんと一緒に気軽に帰ることもできると聞いたので、どうでもよくなっちゃった。
　周りの人に頼られてるんだしね。

　
　ついでに　
「萌ちゃん、私戦闘も経験あるから、もしもの場合は頼ってね？」
「へ？」
「『カーディナルナイツ』の初期のころは実戦を撮影してたんだよ？」
「あ」
　特集誌で読んだ覚えがある気がする。
　『カーディナルナイツ』っていうのはアズちゃんのデビュー作のドラマ。
　騎士の女の子が主人公だったので出演者のほとんどが戦闘シーンがあって、殺陣も凝ってたんだよね。
　それのパイロット版は本当にスタッフ含めて、実戦をドラマの１シーンとして使用してたって。

　アズちゃんのスペックがビジュアルだけじゃなくて、戦闘力としても高いんじゃないかということを知ってしまい、
最悪私がもし倒れてもどうにかしてもらえるかもしれないなーとか考えると余計に肩の力が抜けた、かな。


　パーティのみんなもいい人ばっかだし、頑張ろう。
　アズちゃんにはなるべく甘えないようにして。
　

＞アズさん

（視線が合うと、急にあたふたと落ち着かない様子である）

（少女からの名乗りを受け、しばし何かを迷う素振りを見せたが、
やがて口元からマフラーを外した）