リコ「ネクターがこんなに…貴重な品物だとばかり思ってたのに…」

　震える声音で吐露する少女に、一戦闘を終えたばかりの男はさして興味も示すことなく、只一言「そうだな」とだけを冷酷に告げる。

リコ「現王は、でも奪い取ってるって…それも多量に独占しようとも聞いている…なのに、どうして」

レーヴェ「だが、現実は覆らん。ネクターが欲しいと言うなら俺のをくれてやる…どうせ、俺は然程必要とせんしな」


　ラルフとルリアンナから受け取ったネクターを幾つか手に取ると、有言実行とばかりに紅い花の花びらを少女へと渡そうとし。

リコ「違う…！　ネクターが欲しかった訳じゃない。わたしは古来名を知らしめた名うての傭兵レヴェックの…御爺様の力にネクターを届けようと此処まで来た…」

　「ほぉ？」とサングラス越しに少しだけ瞳の色が覗けて見える。
だが、その目には親愛のそれと言うよりは剣呑といった度合いの色が強い。

リコ「わたしの名前はリコッタ…リコッタ・スフォルツァ。御爺様はご存知か知りませんが、父様…御爺様の息子は現王に仕えるスフォルツァ家の令嬢たる母様と結婚し、わたしが産まれました。父様の名前は…」

　片手を上げて途中で言葉を遮らせると、じ…とサングラス越しではあったが鋭い眼光を向けられると、少女は蛇に睨まれた蛙のように微動だに出来ずにいたものの、気後れだけはしないようにと眦を決して立ち向かうように金色の双眸を男へと向け続けていた。

レーヴェ「全てを信じた訳じゃないが、今は時間も惜しい。邪魔立てをするつもりが無ければついてくるがいい」

　少女の返事を待つ事も無く、王が住まう城へと向うべく歩き始めた男に対し、呪縛から解き放たれたかのようにぎくしゃくとした動きを見せれば、心配するかのように白狼がその大きな身体を寄せてきた。アンジェロと呼ばれた白狼に寄り添われながら帯同すべく慌てて男の後を追いかけ始めた。

城に至る道筋には幾つかの方法…即ち山岳・森林・砂地・水辺・草原の5つのルートがあるようだが、かつて名を知らしめた傭兵の男が取ったルートとは─

城のほうから流れるきれいな小川。
流れる水はひときわ輝いて見える。
川を辿り、攻城を進める—水辺のルートだった。。。

相手の姿を認めれば、片方の手は武器を取り出し、もう片方の手でサングラスの位置を調整し始める

相手が動かなくなったのを確認すれば、振り返る事無く踵を返して

サングラスの位置を微調整しながら、歩を進め

手に取って見やれば、それを無造作に背嚢へと放り込んで

相手の姿を認めれば、片方の手は武器を取り出し、もう片方の手でサングラスの位置を調整し始める

相手が動かなくなったのを確認すれば、振り返る事無く踵を返して

相手の姿を認めれば、警戒した様子を隠そうともせずに剣呑な視線を送り