妖精という生命はどこの世界にもいるものだ。

魔法生物的な視点から見ると、妖精は自然発生型純粋魔法生物の最たる礼だろう。ただし、同じように自然発生する精霊などと違って、たいした力を持っていない。妖精の発生原理は、自然物から流れでた魔法力の結晶だとか、人間が使用した魔法力の屑だとか、いろいろな説はあるのだが、よくわかっていない部分がほとんどだ。妖精というのはそれこそどこにでもいるけれども、あまりにも数が多く、種類も多いので、調査となるとそれこそ一生かけても解明はできないだろう。

妖精の種類を絞るにしても狙った個体を探し出すだけでもかなりの骨を折る。よく、魔法生物を探すには、魔法力による探査魔法を使うが、力の強いものを見つけるにはよいのだけれど、妖精のようにほとんど自然物と変わらないほどの魔力しか保持しないものは、ひっかかりにくい。
ひっかかることはひっかかるが、魔法力探査の閾値を下げ過ぎると、それこそどこにでもいる多くの妖精が探知され、さらにそのへんの自然物にも反応してしまうので、森の中の木を探すようなものだ。まれに力を持つ妖精もいるが、そういうのは比較的レアなケースだ。

ビニールハウスに倒れていたソラメロという妖精も、典型的な普通のどこにでもいる妖精だ。薄いトンボのような羽根をもつ、ティンカー・ベル型の妖精といえる。畑周りに住んでいたせいか、妙に青臭い匂いがするのが特徴といえば特徴だろう。

この世界では、力をほとんど持たない妖精すらもエンブリオとして人間と共生しているらしい。妖精がどれほど人間に力を与えられるのか、僕のいままでの経験からすると、疑問しか浮かばないけれど・・・。ソラメロのいうところでは、森林や山の方に行くともっと力の強い妖精がうようよしているとか。調査のためにも、まず森林に行ってみようと思った。

どんなかわいいようせいさんがいるのかなー。