上に立つ者の責任というのは、馬鹿にできない。

上が下のことを忘れたら、仕える者の生死にすら関わるのだから。

様々な制約から逃れることができる、この世界においても、それは変わらない。
俺に仕える執事の仕事を管理するのは、主である俺の仕事だ。

「そういうわけだから、クラリス、お前も仕事が無いと困るだろう？丁度いいから、あの、真っ黒いのの頭に、落書きしてこい」

「前後の繋がりが意味不明です、というか、何故落書き？！」

これも主としての、一種の愛情表現というやつだぞ？
そう、思いながら、俺は目の前のふざけた騎士に、拳を叩き込む準備を始めた。