【一日目：王城前】



今日は「剛拳のラルフ」っていう強面のおじさんと手合わせをしてもらった。
見た目ほど強くなかったのは手加減してくれてたのかな？
とりあえず支給品も貰えたし、結果的には良かったと思う。


あと王城前や街では沢山の人がいて、そのうちの何人かは僕に直接話しかけてきてくれた。






僕が迷子なんじゃないかって心配して声を掛けてきてくれた
真っ赤な髪と鳥の羽根の、面倒見の良さそうなお姉さん。



いきなり僕のしっぽめがけて飛び掛ってきた
エンブリオみたいなおっきいもふもふとちっちゃなもふもふの謎のコンビ。



少し離れたところから興味津々で僕のことを見てた
黒い大きな帽子と裾の長い衣装の、少し血の匂いのするおねーさん。



まだこの世界に着いたばかりだって言ってた
僕より少し年上に見える、ふんわりとした優しげな雰囲気のおにーさん。



なぜか魚肉ソーセージを握り締めて「一緒に鑑賞しましょう」と提案した
優しい栗毛色髪と瞳の、白い長い服を着てた面白そうなおねーさん。



珍しかったのか、わりと至近距離で僕の耳と尻尾を凝視してた
緑の瞳に茶色の髪の、馬をつれた旅人っぽいおにーさん。



メイアのところで知り合い、一緒に移動喫茶で働きながら同行している
ゆらゆらとした不思議な夕焼け色の髪と紫紺の瞳の妖狐、ツヅミ。



行商をしにこの町に来たといっていた
まだ僕とそうかわらない年齢に見えるミーシャ（性別どっちなんだろう）



僕と同じくらいの年の少年と、この場所に似合わない礼服を着た
なんだかわけありっぽい二人連れのハルとトガノ。






この中に僕の未来のご主人様になってくれる人がいるかもだから、失敗しないようにしないと。
あとはメイアと関係がある人もいるかもしれないから慎重に、慎重に—————



僕から声を掛けてみた人もいるんだけど、今日はもう眠いからそれはまた明日書こう。





おやすみなさい。

寂しそう、といえば確かにそうかもしれない。
何をやればいいのかわからずに途方にくれていた、というのが正解かもしれない。
そんな現実はさておき。
足元で鳴く、真っ白な犬。綺麗な青色の瞳を持つ子に驚いたように目を丸く。

犬語もこの国の言葉も、同じようにやっぱりわからない。
けれど、人、よりはよほど話しかけやすいのか、その場にしゃがみ。

随分と人懐っこいが、周囲に主人らしきものはおらず。
迷い犬？…けれど首輪はしていないようだし捨て犬だろうかと。
そろそろと手を伸ばし、…一応は、噛み付くような素振りはみせないかと確認するかのようにゆっくりと、一応毛の中に首輪が埋もれていないかどうか確認するかわりに首の下辺りを撫でようと。

自分の身嗜みをキョロキョロと見回している。

名乗った後、相手の周りを見回している。

と彼女は思っているようだった

声をかけられて少年へと視線を向けました。
おねーさんと言ってもらえたからなのか、ご機嫌なようです。

えへん、と先ほどもらったネクターを見せました。自慢げです。