ラルフという殿方の元、戦闘試験が行われました。

まあ、私は身体は弱い方ですが、『人間』ではありませんのでなんとかあの方の突撃にも耐えることができ、お認め頂けました。

これが最初の一歩というところですかね。

それと私と一緒に行動して頂ける方々もおられました。
皆さんとならこれから仲良くやっていけそうです。

でものんびりはしていられません。
こうしている間にもあの山は雪を失っていきます。
私も「えんぶりお」の力を借りていなければそのうち消えてしまいます。
ですが、今のままでは本来の力を出せないのもございます。

早く、決着をつけなければ・・・

ルリアンナさんに連れられ、一人の少女があなた達の所にやってくる。
ごそごそとリュックからツボを取り出し、中の液体を掬って差し出す。

しゅるり、とは衣擦れの音。
植物達……偽が的る首元の衣類の隙間から蔓植物が、興味津々だと言わんばかりに雪火女へにじり寄る。
彼女の植物としての本能だろうか。燃えるように熱いような、冷たい様な、奇妙な感覚が先行して、直に触れるのを僅かに躊躇われた。
偽の者は蔓植物を指先にからめながら、

「あの……」

という。

「自己紹介…してなかった…です……ね。私、は……偽(ギ)と云い、ます……。あなたは何という名前でしょうか」

と挨拶しながら、恭しく一礼。

「……あの、……とても御美しいです、ね」

本人に向けて、衣に向けて、容姿に向けて。恐らくいろんな意味を含めて一言に凝縮した言の葉だった。

ルリアンナさんに連れられてやってきたのはクマミミの少女。
あなたの様子をひとしきりじーっと見て一言。

動物的勘なのか、同じような出身だと感じたようです。
裾をぱたぱたさせて、同意を求めています。