【弐：はじまり】

１日目、ラルフとルリアンナとかいう人間達に、どうやら試されたみたいだった。
伊吹の妖怪王たる私を試そうなんて、なンだか舐められたものだけど……

とは言え、異世界では元居た世界の通りの力は出せないから、その辺は仕方ないとも言えた。
彼らは──おそらくそういった、『異世界ルール』を知っていたんだろう。まぁ、救援を送ってきた当人達だから、当然か。
だから、基礎スペックまで落ちきった来訪者達を、ああやって試しているのだ。最低限の役に立てる人材かどうかを。

偽りの島にかつて訪れた時にもあった感覚。
この、脱力感。時間が経つにつれ、だんだんと力がついていけば、そのうち気にならなくはなるものの……

「なンだろ、このＡ級妖怪からＣ級妖怪まで一気に落ちた感じっていうのかなあ……」

等と、ひとり呟く。
とはいえ、何を言っても改善されるものではない。
とりあえず、再開できた仲間達と共に、今後の事を相談する事にしよう。

普段治める側の私としては、反乱を起こす側を体験できるというのは、実は中々に貴重な気もするし。