この国が戦いを始めた原因。王への反乱。
その考えはボクはとても珍しいものだと思った。ボクの居た聖ベルフェルゴ王国ではそのような考えに至る人は一人も居なかったはずだ。
まぁ、『あっち』でのそういうことにならなかった理由の一つは、やはり王の力というものが大きいのだろう。統率力や政治力というので表されるやつだ。

王というのはその世界・その国で唯一無二の絶対者であり、孤独な存在なのだ。王は王しか分かり合えぬ。孤独故に家臣・国民に構いたがってもらいたがるものでもある。


さて、この世界ではどうだろう。王はネクターを全て奪い取ったという。故に生活できなくなった国民が王への反逆を志した。
ボクが思うは、なぜ絶対者である王がそれ程にネクターを欲したのかという点だ。王という身分を使えば、国民の使う最低限のネクターを残しておくだけで一揆などという行為は起きにくくなる。

そして、ボクの結論はこうだ。王は一揆を起こしたかったのではないか。国民に自分が討たれ、この国に革命を起こしたかったのではないのだろうか。この、全て平穏な国に。

本当のところなど、今のところは王とその一部しかわからないだろう。今から玉座の間で王が何を語ってくれるか楽しみだ。


ボクの殺した自国の王は何も語ってくれなかったから。

言うと少し離れた道端の小石に向かって引き金を引いた
ガウン、と虎が咆哮するような音が響き小石が爆ぜた

といいつつ軽くウィンクをする
話しぶりから勝手に少年と勘違いしているようだった