☆Eno.369さんの日記から続いてます
———————————————————————————————————————
生まれて初めての戦闘経験——ラルフさんの試験を終えた私は、ルリアンナさんに引っ張られてある一室まで連れて行かれようとしていた。話に聞けば、一揆に参加する人の大半は小隊を組むらしい。これから一緒に小隊を組むその仲間と、この先の部屋で会えるらしいんだけど。

やっぱりあれだろうか。筋骨隆々な、逞しい男の人達かな。
一揆っていうくらいだから、物騒な武器を沢山手にしていたりして。
髪型はスキンヘッドとかモヒカンだとか……身体中に刺青とかあって……。
自分の武器（巨大な鉈とか鉤爪）に舌を這わせてたりとかしちゃったりしてて。

そんなな方達と私は仲良くやっていけるのかな。お母さん、エレネはとっても心配です。心配です、本当に。


———————————————————————————————————————
ルリアンナさんに連れられて、遂にその一室の前まで来てしまった私。
緊張で身体ががちがちだよぉ……。小隊に参加したはいいけど、ずっとこき扱われるとか
、そんなことになったらどうしよう……。い、いや。落ち着け私。きっと、きっと考えすぎだ。
慣れてない環境に気が動転しているだけなんだ。

静かに、ドアを開けてみる。いきなり開けるのは、何となく怖かったから、そおっと。

あれ、女の子……の声……？　てっきり図太い怒声なんかが聞こえて来るかと思ったから、正直意外だ。

一応確認しておこう。もしかしたら、何かの控え室とかと間違っちゃったのかも。

間違ってないみたい。じゃあ、この女の子が私と小隊を組む仲間ってことなのか。
見たところ、歳は同じくらいに見えるなぁ。頭に角が生えてるけど、獣人の子なのかな？
喋り方も何処か、ぎこちないけれど、上手くお話出来るかな……。

ルリアンナさんに貰った札をちらりと見せる。同じ物を、この子も持っているらしい。

しまった。早口になっちゃってたのかな。……そういうことじゃないか。この子は、
人間の話す言語に慣れていないんだ。

自分でもすごく、おかしな発言に聞こえる。でも、これが最初のコミュニケーション。その大事な大事な第一歩なんだ。

ぐばうあ……？　何なんだろう。この子の言葉で、仲間って意味……なのかな？　何だか、鳴き声みたいに聞こえる、不思議な言語だなぁ。

コミュニケーションがとれたのは素直に嬉しい。

今度は私が聞き取れなかった。やっぱり、とっても不思議な言語みたいだ。そう言って目の前の女の子は、拳を差し出してきている。握手……なのかな？

同じくらいの年頃の子みたいだし、あんまり畏まって敬語を使うのも、変だよね。これから仲間になるんだから、軽い感じで話しかけてみよう。友達に、なれたらいいな。

握手に応じる。私が掌を差し出したら、クキュルちゃんは拳を重ねてきたけれど。うん、大丈夫。ちょっとした文化の違いってやつで、気持ちはきっと伝わってるよね。

クキュルちゃんは、ニカッと笑ってくれた。よかった。仲良く出来そうかも——

——そう言って笑うクキュルちゃんの歯は、肉を引きちぎれる程に鋭くてギザギザで……

———————————————————————————————————————


拝啓、お母さん。
エレネは元気です。
仲間も出来たみたいです。
でも、これから始まる一揆は、私の理解を超えた、驚きの連続みたいです。



———————————————————————————————————————

☆PT日記はEno.383さんの日記へ続きます