この数日彼女はこの街の一揆参加者用の宿を拠点に、街の内外を散策していた。
物を売っている場所、参加者内で人員募集をかけているギルドのような場所や、それに一揆を仕掛ける城。



街だけでもかなり広く、多くの冒険者・・・もとい一揆参加者がいたが、彼女はいまだ誰にも声をかけてはいなかった。
理由はいくつもあるのだが、一番大きいのは見知らぬ人に命を預けることへの抵抗感だった。

一応彼女も１人でいることに不安はあるのだが、この街にいる参加者の中で彼女はかなり若い方に分類される。
年の近い人はほとんどいないし、いたとしてもすでに別に参加者とチームを組んでいる。
そこに割って入れるほど彼女の神経は太くない。



そこで彼女は一応一人で何かできるはずだと考えた結果がこの数日の散策および探索だった。
情報が無いことには動ける範囲に限界があるし、いつまでも知らない土地を地図なしで動き回るわけにもいかない。
それにこの世界のことももっとよく知らなければならない。



実際動き回ってえられた情報というのは大きかった。
メルンテーゼと呼ばれるこの世界には今、一揆のために別の世界から呼ばれた人もいるらしいこと、
そしてこの街は「平原」「水辺」「砂地」「城内」「森林」「山岳」に囲まれており、
その先に王に仕えるものが守護する城があり当面は底を崩すことが目的であること。

街でもらった地図に印をつけながら彼女は呟く。
周りに遮蔽物が無く、多くの人数が直接戦える平原なら、彼女が一人で参加してもひっそり戦うこともひっそり逃げることも可能だろう。

しかし参加しないわけにはいかない。
宿屋の主にはお世話になっているし、この宿屋もすでに満室で一揆参加者で埋まっている。



他の参加者が攻城戦に参加している中ただで部屋を取り続けているわけにはいかない。
彼女自身そういった不誠実なことはあまり好きでは無いのだ。

彼女は灯りを消してベッドにもぐりこみ、５分もたたず意識を手放した。


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すっかり日が高くなり、今日というはすでに半分をまわったところだろうか。
昨日の夜更かしがたたって昼過ぎまで寝てしまうという暴挙。

宿屋の食堂を目指して階段を下りていると、見知った制服の２人組が目に入ってきた。
一人は黒いマフラーを付けた色の薄い髪の子と、一人は小さな妖精の女の子をつれた金髪の子だ。

ここからでは聞こえないが、２人はなにか話し込んでいるようだ。
彼女はこれはチャンスとばかりに小走りになり、彼女たちの元へ急ぐ。