「……あの二人は一体何だったんだ。」
あの後どうにかして一揆に参加できたと思ったら、麦藁帽子の女性に品定めされたかと思うと隻眼の大男に「まずは腕試し」と言われ戦う羽目になった。
「あまり戦うのは得意ではないのだが…。」
いつか何かの役に立つかもしれないとアイツに戦う術を教えてもらっていたおかげでどうにか彼らのお眼鏡にかなったらしい。
そう、どうにか彼らのお眼鏡にかなったので一揆には問題なく参加できるらしいのだが…。
「さて、これから一体全体どうしたものか…。」
問題はそれだ。
私にはこれといった目的がない。
いや、一応人探しといった目的もあるのだがこの一揆で何かをなそうとするものがない。
人によっては修行のためだったり己を見つけることかもしれない、もしくは誰か何かを救うためかもしれない。そしてこの世界の人々は生きるため、明日を得るために参加している。それをただ『面白そうだから』といった理由で参加するのは少しばかり気が引ける。
アイツのおかげで今こうしているここに存在できているとしてもとしても、死者が生者の物語に関与するのもアレだからな。
「そういえばあの二人組は誰かと一緒に進んだほうがいいと言っていたな…。」
ならばその『誰か』を見つけてそれの紡ぐ物語を特等席で眺めればいいではないか。
「その過程でアイツを見つけることができるかもしれないしな。」
このさまざまな世界のものが集まる混沌の坩堝で。
「そうと決まれば適当に粋が良くて面白そうなやつを適当に見繕うか…。」
たとえばあそこにいる少女とか。
それに彼女が紡ぐ物語がたとえ味気ないものだとしてもその過程で出会う物語が味気ないものだと決まったわけではない。
むしろ私一人では出会えない物語もあるだろうしな。
「そうと決まれば声をかけるか…。」





「すまないが、そこのお嬢さん。君もこの一揆に参加しているなら私を連れていってくれないだろうか？。」