日が昇った頃に農村へ出向く。
村は一揆へ向かった人々がいなくなったため、いつもより閑散としているように見えた。
村にはいつもの半数ほどの人々が残っていた。農作業を続けるために残っていたのだ。
例え一揆が成功に終わったとしても、作物は必要であることに変わりはない。

一揆を成さねばならないし、いつもの農業も続けなければならない。
私は農作業に励む村の人々が好きだ。彼らと付き合う中で、ずっとその姿を見ていられればと思う。
一揆が起きている間は、農作物を育てることに全力を尽くせないだろう。
だから、私が彼らの代わりに闘うのだ。

朝の一仕事を終えた村人に、一揆へ参加する旨を伝えた。
村人の中には、やめた方がと説得する者もいた。
ルトもその一人だ。

かつて森に迷い込んできた時には、私の膝ほどの高さもあるかどうかといった様子だったのに、
いまでは胸元近くまで大きくなった彼女は、最後まで私を説得し続けた。
私のことを心配しているということはよくわかっているが、
私もまた彼らのことを心配しているということを伝えて、最終的に彼女には引き下がってもらった。

一揆の参加者は、既に目的地で集合しているのだという。
早速村を発とうとした時に、ルトに呼び止められた。
せめてこの子を、と彼女から渡されたのは、輝く蛇の姿をしたアニマのエンブリオだ。

まだ生まれたてのエンブリオだったが、
彼女の親切がうれしかったこと、この一揆できっと役立つという村の面々が主張するので、
ありがたく御同行いただくことにした。

名も無いエンブリオには、ティジュ、と名付けた。

渋々ながらムーニアも刀を抜き、戦線に加わった！