メルンテーゼに飛ばされてきてから、数日が経った。
この世界の住人は、変わり者に耐性があるらしい。
普通に街を歩いていても特に気にされることはなかった。
それどころか、人？かどうか怪しい者も見かけることも珍しくない。

この世界の通貨は当然持ち合わせていなかったが、住人たちはとても寛容だった。

どうやら何かの戦闘準備のため、別の世界からも戦力を募っているらしい。
そのため同じように通貨を持っていない、人？がよくいるのだとか。

宿を取っていた店主に、怪訝そうな顔で聞かれてしまった。

どうするか一瞬迷ったものの、正直に答えることにした。

追い出されるかと思っていたが、意外だ。
こういうやりとりも含めて、やはりこの世界の住人たちは寛容だな、と感じる。
どれだけ戦力がいても足りないくらい、とも聞く。
戦力にならなくてもいいから数を増やしたいだけ、とも聞く。

この世界に飛ばされてきたものの、何かの目的があるわけではなかった。
唯一、こっちの世界にくることになった元凶、あの魔術師の言葉が引っかかっているだけ。

三者の総意で、参加することに決まった。

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次の日には、参加を表明した。すると屈強な男と腕試しとして戦うことになった。
力を証明できたところで決着となったが・・・。
あの男、あれだけの参加者を相手にしているということは、相当の実力者なのではないだろうか？

一揆について詳しく聞くことはなかったが、自由に動き回れるものだと思っていた。
しかし、小隊を組まされ、パーティとして行動を共にすることが決まっていた。
パーティメンバーのところへ合流する前に、少し会議をすることになった。

一応、注釈を入れておこう。
独り言のように声を出して話をしているわけではなく、これらは脳内会議のようなものだ。
テレパシーのようなもので会話していると思えばわかりやすいかもしれない。

勝手に仲間割れのようなことになっても危険だ。
参加者全体から狙われることにでもなったら、もっと厄介なことになる。

しかし、この魔族の魂は、案外まともなのかもしれない。
戦うことしか考えていない割には、場所や時を弁えているようだ。

ある程度、自分たちなりに表の人格の切り替わるタイミングを掴んできたようだった。
フィドル（といっても、融合しているので一体なのだが。元の人格上、こう呼ぶのがわかりやすいだろう。）がふと気づいた。

（こちらも、融合しているでry）

どうも、フィドルが人格の主として表に出ている時間が長いように感じる。
ちょくちょくレクイエム（魔族に名前がなかったため、この名を魔族の人格として呼称している。）は、出てくるのだが。
確かに融合された当初から、あまりレベックが表に出ることは多くなかった。
元々会話するというよりは、遊んでいたり鼻歌でも歌いながら訓練をしていた子ではあるが・・・。

しかし最近では、特にレベックが表に出る時間が減ったように感じていた。

精神体のようなものなので、疲れれば寝たりもする。
少し心配は残っているものの、レベックが会議に参加してきたことに安堵したフィドル。
簡単にここまでの流れを説明した。

聞いていなかったレベックのために、切り替わりを再確認する。
身体は一つなので、精神による身体の取り合いにでもなったら大変だ。
特に戦闘中に身動きが取れないことになれば、命の保証は全くないだろう。

寝るときに切り替わる意味があるのか甚だ疑問ではあるが。

レベックの魂に起こっている微妙な変化に気づいているのは、本人だけであった。
しかしこの変化がどのような影響を及ぼすか、今のところ本人にもわかっていない。

パーティを組むことになっているので、そのメンバーのところへ戻らなければならない。
次の進攻もあることだ。作戦会議も必要になるだろう。
果たしてどんな人たちなのか・・・。

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4人でのパーティを組むことになった。
小隊によっては、単独行動のものもいるようだが・・・。
どういった基準で選ばれたのかも全くランダムにしか見えなかった。


まずは、パーティのリーダーを務める、ちゅぱかぶらさん。
彼女も僕らと同じように、別の世界からやってきたようだ。
どう見ても僕らよりも若い。というより、子供にしか見えない。
いや、見た目だけで判断するのはよくないだろう。
魔族たちだって何百年、何千年生きていても見た目が変わるわけではないのだから。
彼女はピンク色のウサギのぬいぐるみを持ち歩いていた。
この、ぬいぐるみが喋る。どういう存在なのかはわからないが、生きているようだ。
ゴーレムのような創造物なのだろうか？
あとで詳細な調査をしてみたい。などと考えていると・・・。

などと無邪気な考えが頭に割り込んできた。
・・・考えるのを一旦やめることにした。


もう一人、女性がいる。こちらはライナさん。
一揆、戦闘、などと言っているが、参加者の中には女性も結構多いようだ。
こちらは陽気なお姉さん、といったところだろうか。
リーダーよりはムードメーカーのほうが向いているような印象を受ける。
なにより目を引くのは、その耳だろうか。人間のような耳ではなく、獣の耳が生えていた。
動物に詳しくはないのでよくわからないが、狼という種族の耳のようだ。
旅をしていた経験があるということなので、もしかしたら一番戦い慣れしているかもしれない。

実は一番リーダーに向いていたりするのではないだろうか？


最後に一人、こちらは男性。ユーチーさん。
女性だらけにならずによかったと少し安堵した。
外見は僕らより少し若いように見える。が、すぐに頭にある角に目がいってしまった。
明らかに人間ではないようなので、外見などはやはり気にしても仕方ないだろう。
角の他にも尻尾があり・・・これは僕らの世界にも極希少数だけ存在していた竜族に近いのだろうか？
とても重厚そうな首輪や鎖をつけているのも気になるところだ。
その程度の重さを気にしないほどの力があると、判断して構わないのだろうか。

とかなんとか裏側から聞こえてきたが、無視することにした。

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こうしてパーティーを組み、最初の進行地、平原へと向かうことになった。

※下桁ナンバー多いのに判定。 1D3 = 2 ( 2 ) 1D3 = 3 ( 3 ) 1D3 = 3 ( 3 )

組み立ててくっつけて遊んでいるようだ。