０.９.２.

【只今一揆中につき通行制限中】

「一揆いっきイッキＩｋｋｉ・・・」
「どうやら内乱の真っ最中みたいだね」
「何よもうここは本当にもう何なのよここ！？」

ガンガンガン

「看板に当っても先へは進めないよナガメ。それにみっともない」
「この看板なんなわけ？ なんか見えない壁もあるし訳分かんないわよもう、この看板！」
「それがこの世界の力なんだろう。前の街で聞いたエンブリオとかいう生物の——」

オオオォォーーン・・・

「へ？ ちょちょ、なんか来た！ なんか来たわよナナメ！」
「丁度いい。僕たちもエンブリオの力を手に入れれば、この先に進めるかもしれない」
「えぇ！？ 私はいやよ逃げるわよナナメいやよ私はちょっとねえナナメ！」

流れる水のせせらぎ。夕日が沁みるひととき、濡れた土を踏みしめる音が近づく。

揺れる大きな帽子。妙な服を着ている。決して美形ではない。

男は人懐こい笑みを浮かべて続ける。

ぽん、と手を叩く。どこかの怪しい商売人のように。

怪しい男が差し出し置いていったのは一枚のチラシ。

『女性に便利をお届けするキーン商会、会員様及び従業員募集中！』

裏には地図が記載されている。どうやら転移陣でわざわざ平原から来ているようだが……暇なら覗いてみるのもいいかもしれない。