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　『そういえば……貴方にはお姉さんがいるのですよ♪』

　「おねえちゃん……？」

記憶の中の私が首を傾げる。
目線の先でお母さんが思い返す様に柔らかな微笑みに変わる。

　『ふふ♪随分知識ばかりが先行して探究心に欠けた子だったから少し心配ですけれどね♪』

　「たんきゅーしん？」

　『好奇心、興味、といったところですわね♪色々なことを試してみようという心ですわ♪』

　「ためすのたのしいのに……へんなの。」

　『ゆえちゃんはいい子ね♪でも、とても可愛い子でしたわ♪随分会っていませんけれどね♪』

　「おねえちゃん、どうしたの？」

　『旅立ったまま音沙汰がありませんわ♪けれど、そのうちひょっこり手紙の束が届くでしょうね♪ふふ……♪』

　「ん、そーなの？……おねえちゃんのほうがよかった？」

不安に駆られた私が思わず口を出した。
言ってから、しまった。なんて顔をしたような気もする。

　『あらあら…♪あの子の事も愛していましたが……ゆえ。貴方の事も愛していますわ…』

　「おかあさん……♪」

お姉ちゃんへの言葉の後に私の頬を撫ぜながら、どこか熱っぽい視線で私に伝えてくれた。
あぁ、私はお母さんにちゃんと愛されてるんだ。ってわかった。
私はこの人の慈愛を貰えてる。

懐かしい、記憶。



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城門に近く、とはいえ人も通らない森の中。
同行者を探そうと思い立ったものの、面白味を求めたせいでこんなところでひなたぼっこをしていた。

同行者探し、だ。
まぁ頓挫してる時点で差異なんてどうでもいいものなんだけど。

木陰でまったりしている私を呼ぶ声が聞こえる。
どうやら何か見つけてきたらしい。なんだか声が楽しそうだ。

ひょいっと私よりも少し大きい少女、セツナの前に顔を出す。
すると、私の姿を見つけてぱあっと明るくなった後で嬉しそうにさっきあったことを話してくれる。

セツナの手を取り、件の現場に駆け出す。
お母さんが私を見ていたような慈愛の眼差しで後ろ目にセツナを見つめながら。
少し、熱っぽいような目で。

自分の服を見下ろして溜息を吐いている。

　　そちらが喋り終わった後も、聞いてなかったかのようにしばらく沈黙していたが
　　ゆっくりと口を開き、聞いていたのかいないのか、辛辣な感想を述べた

ぴょこぴょこと元気よく歩く少女の姿が目に映る。
その元気さに釣られてか、2人組の男性が声を掛けてきた。

1人はどこかひ弱そうな小柄の少年。
声色は穏やかだが、その表情は皆無に近い。

もう1人はスマートな体格をした礼服の青年。
落ち着いた声色に加え、微笑を浮かべている。

興味津々と言わんばかりに幾つかの質問を投げ掛けた青年はそのまま相手の返答を待つ。
一方、その2人とは少し距離を取っている少年は…何を考えているのかすら想像させない表情を浮かべたままだ。