帝国暦532年　皐月の十三日、夕刻



さて。

まだ私もよくわかってないけれど、書けることはまとめておこうと思う。

いつもの道場での精神鍛錬中、『声』が聞こえて来た。
その声の言うことをホントに単純に要約すると

「異世界にある国を救うために私の力を貸してくれ」

ってことらしい。
事実は小説よりも奇なり、ってこういう事なのか。
いや、私が読んでるのは漫画だけど。


と言うか異世界って何。
言葉とか食べ物とか大丈夫なの？
フシギナチカラで遠い遠い私に話しかけてくるくらいだし、その辺はなんとかなる前提なんだろうけど。


あ、話がずれた。閑話休題。

正直なところ、力を貸すも何も。
私が力を試せる場所があるなら喜んでって感じだし。
千載一遇、ってことで了承。大体一秒くらい。


そんな訳で。
お父さん、ハイネ、ごめんなさい。
薙疾はたった一人の家族にも、一番の親友にも相談もせずに、
命を賭けた旅に出ててきます。


下手したら向こうで死んじゃうかも知れないし、
こっちの世界に話しかけるための、不思議な力の源？的なモノを取り戻す戦いらしいから。
失敗したら、生きていたとしてもニタンには戻って来れなくなるかも知れない。

でも、私は自分が今まで鍛えてきた薙刀の腕を試してみたい。
別に薙刀一本持って世界漫遊でも良かったんだけど。
神とか運命の存在とか信じてもいないけど、渡りに船と言うか。
今この時が、私の旅立つときなんだと思う。


私にやれること、色々とやってくる。
出来る限り頑張って、帰ってくる。


それじゃあ、そろそろ世界移動とやらの時間らしいから。
行って来ます。







あ、もう一個ごめん、お父さん。
家宝『神凪』、借りてきます☆

薙疾、自室の机の上の書き置きより