1.魔王な彼女と歪んだ桜

私は光を失った。

5歳、世界は鮮やかに輝いて見えた。
喪失は突然だった。
両親の勧めで修道院に入れられ、毎日 神へ祈った。

10歳、未だに世界は暗かった。
目の見えない私に世界は厳しかった。
一人では何もできない、仕事なんてもってのほかだ。

13歳、神は私を見放した。
何処かで弾けた戦火が修道院を襲った。
味方か敵か？修道院は私を贄にした。
そこから暫くの記憶はない、私は大切なものを失った。

14歳、出会った。
生きるのが大変だった、助けなんて求められなかった。
死ぬのは怖かった、こんなものが人生だなんて思いたくなかった。
暗闇だけが友達だった。
だから出逢ったんだと彼女は言った。

15歳、世界は不気味に蠢いて見えた。
小柄な彼女は自慢げに言った。
「どうやら見えるようになったね。」
閉じ切った瞼は動くことはないが、世界は黒く燃え盛って見えた。
私は目が見えるようになった。
「そうでなきゃ困る。僕のこれまで溜めてきた魔力を9割も使ったんだからね！」
彼女は疲れた顔も見せず、誇って言い切った。
本当は立っているのもやっとなはずなのに。
魔王な彼女は人前で膝をつくなどしないと笑う。
「それで、気分はどうだい？ハッピーかいっ！」
冷え固まった表情筋は笑うことなどできないし、沈んだ感情は浮かぶはずもない。
それでもどうにか伝えようと頷く私に、彼女は言う。
「いいよいいよ！さくらちゃんはこれまで大変だったんだ、この質問はまた今度するとしよう！ だって楽しいことは これから先、まだまだあるんだからね！」
彼女は朗らかに言う、魔王のように不敵な笑みで、少女のように明るい笑みで。


小さな魔王な彼女。
私に大切なものをくれた魔王。
私が愛する魔王。


16歳、私は決めた。
心を、体を、魂を、全てを捧ぐのだ。
まずすることは決めている、魔王様の魔力の復活だ。
そのために異世界へと飛んで戦火を広げ血に染めるのだ。
「本当に行くのかい？簡単に戻ることはできないよ？」
魔王は困ったような顔で言う。
私は頷き言う。
「想いは変わりません！魔王様に頂いたこのご恩、必ずお返しいたします！」




-----ここから下は試験的-----

好戦度

※桜はまだこの世界に不慣れだ。(最高好戦度+3)

1D4 = 1 ( 1 ) -1