麦わら帽子を被った赤毛の女性、たしかルナアンナという名前だったと思うが、彼女の言葉を最後に今まさに戦闘が開始されようとしている。

どうしてか私が戦う、という形で……。

「いやいや！何で私なんですか！？」

そう言いながら同伴者二名に救いの視線を向ける。

「そうは言われても俺はエンブリオ契約なんてしてないしなぁ」

少し困った顔で兄が私の言葉に答える。
確かにそうなんだろうけど、妹が危険に晒されようとしているこの状態で何かしようと思いませんかね！？

そしてもう一人の同伴者は、

「このみ、大丈夫。サポートはするからあなたは出来る範囲で応戦するといい」

とさらっと言ってくれる。

何かを言おうと言葉を探し……諦めた。

私が今騒いだところで何も変わらないのだろうし、こういった貧乏くじを引くのはよくある事だ。
……認めたくないが。

大柄の男が少しフラフラしながらも拳を握る。何でか凄く疲れてそうなんですが……。

とりあえずやる事はかわらないんだろう、諦めて腹をくくる。
果たしてうまく力が使えるかなんて判らない。


本当にどうしてこうなってしまったんだろう。


事の発端はここに来る前、一週間前まで遡る。