何度か乗り継いできた駅馬車から降りて、背伸びをする。
羽根を使った品の売り買いに同行してあちこち回ったことはあるけど、こんな長旅は初めてだ。

ガスティは道中ほとんど上を飛んでいたから乗り物での疲れはないはずだけど、妙におとなしい。
周りにいる人の数が半端じゃないことと…あとは、やっぱり緊張しているのかも。

城の前に集まっているのは、ほとんどが一揆の参加者らしい。
なんでも、このためにわざわざ別の分割世界から呼んできた助っ人なんかもいるとか。
…ここにいる人数だけで、村の人口の何倍になるんだろう？

と、慣れない状況に戸惑ってばっかりでも仕方ないか。
ちょうど近くで参加者を仕切っていた麦藁帽子の女の子に、加勢に来たことを伝えてどうすればいいか聞く。
どうやら試験みたいなものがあるらしく、やたらと腕っ節の強そうな人が出てきた。

これが終わって参加者として認めてもらえたらまずは仲間探しかな、なんて考えつつ。
僕は王都に来て初めて、剣を抜いた。