ノエル「そういえばインリョクって話…アインス、ううん、ぼくたちのお姉さんから聞いたことがある。
王都のほうで新しく研究されている学問で立てられた仮説だとか…名前を聞いただけで、ぼくは
詳しいことはわからないけど、虎さんのとこでいう、卵の中にある何かが関係あるのかな。
　　　　　…ルチルのお姉さんの国では地面はどんな形だったんだろう？」

ノエル「虎さんの世界の獣人は、見た目、人半分動物半分な感じなのかな…　何だろう、
『２本足で立っている動物』みたいな感じ？　ぼくたちの国の獣人（リエンダ）は、
どっちかっていうとキアロさんの国の『ルナティコ』に近い種族なのかも…」

ノエル「『長生種』も、ぼくたちの国の妖精族（エルダノン）みたい。　もっとも、ぼくたちの
ところではもっと細分化されてて、寿命が定められていない種族にも、外見で様々な
呼び名があったけど…中には、虎さんの国でいう『ウッズマン』みたいな種族もいたし。
　　　　　どっちも、これは、踊り子さんや、アスのお姉さんの国では見られないのかな。」

ノエル「（と、背中から出てきた翼にびっくりして）…あっ！
それは…『作り出された』って？　魔法の技術で付けたってこと？
それ、飛べるの？　かっこいい！」

ノエル「…でも、人間が、こういう、動物の能力を取り入れる技術を持つ国なら、もし、その世界に
神様がいらっしゃったとしても、獣人は『必要ない』と思って作らなかったりするのかもね。
アスのお姉さんの国では、魔法は、神様の力を借りて行うことのない技術みたいだけど…
　　　　　そうしたら『長生種』がいないぶん、いずれ、寿命も、魔法で克服したりするのかなあ。」

ノエル「でも、政府非公認の魔術書にしか名前のない種族って…名前だけ聞くとすごいね。
踊り子さん、帰ったら、魔術書の種族に会ったって自慢できるかもよ！　…世界の終わりの
ことが書いてある経典かあ…　それも不思議だよねえ、一体誰が書いたんだろう…」