マリア「自治体において、次年度予算が確定するのは3月末です。
が、担当課が予算案を作成するのは12月です。
耐震補強工事や臨時職員の雇用と言った事業ならばおおよその数字は出せますけど、学童保育所の利用者数や障害児受け入れ数なんてその時点では正確な予想などできる筈もなく」

マリア「ならば多めに予算を確保しておこうとしても、算出根拠を求められるのでそうも行きません。
まあ、財政課と戦って200万円ほど22年度分より上積みしてはいたんですけどね……。
そして、予算案が担当課の手を離れた後に予算不足の根拠が出てきたとしても、もはや修正は許されず『6月補正で対応しろ』と言われます」

マリア「市の予算の補正は基本的に6月・9月・12月・3月の四回。
それだけで対応できない場合には、臨時議会で補正を行います。
そのうち6月補正は、年度当初において不足が確定しているものについてのみ行うもの。
原則として単純な増額補正は認められず、組み換え補正する必要があります」

マリア「ただ、不足が確定していても全て6月補正で対応する訳ではありません。
6月補正は支払いに支障が出る案件についての緊急対応であり、そうでないものは9月補正に回されます」

マリア「確定しているなら後回しにしなくても、と思うかもしれませんね。
ですが、○月補正と言うのは『○月議会に提出する補正予算』であり、実際に内部協議を行うのはその1〜2か月前。6月補正は5月中旬までには協議を済ませなければなりません。
一番忙しい時期に、緊急性のないものまで協議していられない……と言う訳です」

マリア「補正のメインは9月。
7〜8月はどの課でも今後の収入・支出額を試算する大事な時期です。
大きな補正はここで済ませておかないと、後々地獄を見ますからね」

マリア「……書いてみたら長くなったので、この話は二回に分ける事にしましょう。
次回は地獄の下半期補正について話します」

ウーシェ(1514)からのメッセージ：
ウーシェ「軍事用語では一般に戦力の30%を喪失した状態を『全滅』と呼称する。
つまり、冗長性を想定して編成されたユニットであっても、それだけの損失を受けると組織として機能しなくなるからだ」

ウーシェ「戦力の20%前後の損失が発生した場合、後方で再編成が必要になってくる訳だね。
昔であれば出撃ごとにパイロットの一割が損耗するような業種もあった訳だが、流石に空気が他と違ったそうだね。生存者も葬式待ちの空気を漂わせていたそうだ」