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No.354 灰ジャンニ・マリア・フィオット









   炸裂音が響いた。   72日目から73日目に移り変わろうとする、偽の大地に。




      三式B型、クロの斧は、ユグドラシルの幹に喰い込んでいた。





              大樹を揺るがすにも切り倒すにも足りない、小さくわずかな一撃だった。




          とはいえその断撃は、




                      ジャンニ・マリア・フィオットの呪術を通じ、




                 埋もれた過去の一幕へ、深々と届けられていた。













コミュニティメッセージ


ジャンニ(354)の声は粘りつくように低く響く:
静寂があった。そうして平坦な灰があった。なにが燃え尽きたものであるのか、なにが焼け死んだものであるのか、すべて匿名的な過去に褪行して行方が知れず、弔鐘も葬列もなく、灰は大地を満たしていた。
空は原色の青で塗りつぶされて暮れているとも明けているとも知れず、昼間であるようにも日昏れのほんの少し前であるようにも思われた。時を計る一切の手がかりはなく、また時を計る自由意志もそこにはなかった。あったものはただ灰ばかりだった。

 
灰には小さな足跡が残されていた。その両脇にはなにか細いものを引きずったような涸れた川に似た痕があった。風一つ吹かないその土地には、いつついたとも知れないその痕が長いこと残されていた。気に留めることのできるものはなく、乱れを正す意思も理由もなかった。その土地ではすべてが終わっていた。道は途絶え、歩むことのできる場所はなかった。盤外のように。そこは舞台になったことはなく、また永遠に舞台になることもないはずの場所だった。

 
灰はすべて比喩である。土地は灰であり、灰にはなにも残らない。

しかし語られようとする非在のために、比喩は機能する。

 


灰の底にも熱は残っている。拭いがたく。
それを象徴するように、




 

 灰には一撃が刻まれる
               大樹を通じて呼びかける

 

 

   《……。》

 

   《……複雑な世の中を、複雑に見ても『薄まる』だけだ。》

       《……。》

    《……『悲劇』は、それを観るものには、『娯楽』となる。》

        《……敬語とか、落ち着かない。 …普通にやる。》

 《……仲間を、ひたすら信じているんだな。》

            《……。》

     《……ボクは、》

             《……いや、なんでもない。》


    《……。》
                   《……。》

 
 
 

 灰から突き出された幼い手が砂色の三つ編みをつかみ(そのいろはみどりのいろ)

 

 

      「――クロくん!!」

 
 
 三式B型にはその声が聞こえた。幻聴のあるはずもない機械の体に。
 ゆえにこそ三式B型の声もまた、その声の主に、
 もはや届くと信じていいだろうことは明らかだった。……
 


B.B.(994)からのメッセージ:

 「……届いた、か?」

 「……結局、ボクのキモチは『言葉』にならなかった、な。
 
  ……考える前に、『一発殴りたい』想いの方が先に、立った。」

 「……只の衝動で、理性には、程遠い。
  …つまるところは、タダの自己満足、だ。
  ……お前の都合を顧みず、誰の都合も考えず、我儘に振舞っただけ、だ。」

 「……だから、最後はお前もそうすれば、いい。
  …我儘に、恣に、望むとおりに生きれば、いい。
  ……『灰』に塗れて、『過去』に埋もれて、そうして居たいのならそうすれば、いい。」


 「……いや、違う、か。」

 「……多分、ボクはお前の言葉を聞きたかったん、だろう。
  …別れなら、別れ。 …助けなら、助け。 …只の悲鳴でも、叫びでも。
  ……何かしらの『言葉』が、欲しかったんだろう、な。」


 「……。」


 「……結局、『そこ』には求める何かはあった、のか?」

 「……ボクを捨て、皆を捨て、全て捨てて、
  
  ……そうしてまで、『そこ』に居る『意味』はあった、のか!?」




コミュニティ参加者


 ENo.354 ジャンニ・マリア・フィオットKRNG
 ENo.994 雨云 十三郎ハイヤ@17
参加者 計 2