レナーテ(385)からのメッセージ:
レナーテ「さて、今回は東独の情報機関『Stasi』についてだ。 StasiとはStaatssicherheitsdienst(国家公安局)の通称。 人民警察の上部機関と言う位置付けだった」
レナーテ「正式な職員は約85,000人、正規の情報提供者が10〜15万人。支所数は約90,500ヵ所。 その他の密告による情報提供者も含めると、東独人口1,600万〜1,700万人の1割以上に達した……と言われているが、実際にはもっと多かったらしい。 三人に一人が情報提供者であったと言う説もある。まあ、正確な数値は永遠にわからんだろうが」
レナーテ「母体はナチスの秘密警察ゲシュタポだったらしい。 らしいと言うかほぼ間違いないが、大量の資料が破棄されたため検証できん。 どうにも、Stasiに関してはこのような事が多くてな。 資料自体が存在したのは間違い無いのだが……」
レナーテ「西独の情報機関が自国の防御のために諜報活動を行っていたのに対しStasiは攻撃的であり、西独及びNATO諸国の情報を共産圏へ流す事を目的としていた。 それは、攻撃的な活動をするだけの能力があったと言う事でもある。以前にも話したが、西側の情報機関(連邦情報局、連邦憲法擁護庁、国防軍情報部)の活動の全ては東側に筒抜けだった」
レナーテ「連邦情報局のある女性職員は東独のスパイと恋仲になり17年間も情報を漏らしていた。 連邦憲法擁護庁のスパイ活動監視部長は借金で脅迫され、東独に情報を提供していた。 国防軍情報部の職員は日本円にして約1,000万円ほどで買収されていた」
レナーテ「西独全体では、約5,500人のStasiが潜伏していたらしい。 なんと連邦議会の議員にまでStasiが居たが、1972年には連立内閣に対して第一党の出した不信任動議が『別の野党勢力によるStasi議員の買収』によって僅差で否決されると言う珍事も起こっている。 東独の情報機関の構成員が西独の首相の窮地を救うとは、皮肉なものだな」
レナーテ「では、国内においてはどのような活動をしていたのか。 まず、郵便物の開封。現金や為替が入っていた場合は無条件で没収された。没収額は1985年から1989年の間だけで総額約1,100万マルク(日本円にして約8億円)に達したと言うデータもある。 他には電話の盗聴、監視や尾行、無線の傍受、拘束と取調べ……等を行っていた」
レナーテ「Stasiはあらゆる合法的規律を無視できる超法規的存在であり、恐怖の対象であった。 東独は決して不幸ばかりが蔓延する国家ではなかったが、人民の不満を上からの権力で押さえつけ辛うじて国家の秩序を保っていたと言うのも確かだ」
レナーテ「ここまでにしておくか。 次回もStasi関連の話をする予定だ」
ミィ&仁義(222)からのメッセージ:
ミィ&仁義「いやー、共産主義の悪いところてんこ盛りってやつなんですかねぃ? 一概に悪いとは言えないんでしょうけど」
|